会長:廣瀬 宗孝
(兵庫医科大学 麻酔科学・疼痛制御科学講座)
麻酔科医として最初の症例に取り組んだ1987年、麻酔科を選んだ理由の1つは、ストレスに対する生体の生理反応を、
麻酔中の様々なモニターからリアルタイムに体感できることに強い魅力を感じたことでした。
その後、手術ストレスや痛みに対する反応だけでなく、微小重力、水中、高圧環境による反応にも興味を持ち、
今もその気持ちは変わらず続いています。
今、麻酔科学はこれまでになく最高に面白い時代に入っています。
なぜなら様々なモニターやパラメータが新しく開発されて臨床使用でき、
それらのデータは病院のサーバーに保存されるので統計解析ソフトでの解析も容易にできるからです。
麻酔科医は誰でも、麻酔が患者さんに及ぼす影響を調査できるのです。
術後の患者さんの予後を左右するのは、手術方法や外科医の能力の影響が大きいことは変わりませんが、
麻酔管理もかなり影響するのではないかと薄々思っていた(または確信していた)古い麻酔科医の気持ちが晴れる日が近づいていると思います。
+医師の働き方改革が施行され、他職種とのタスクシフト/シェアが進みますと、
麻酔科医は術後の重篤な合併症の発症を抑制するための麻酔管理や周術期管理を治療として行うことに、
もっと力を注ぐことができるようになります(きっと・・)。
もちろん集中治療やペインクリニックなどの患者の治療にも尽力できるようになります。
若い麻酔科医や麻酔科を考えている臨床研修医の皆さんが、麻酔に隠された力をもっと明らかにしてくれることを切に望みます。
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